２０１５年下半期、裏社会の大ニュースとなった国内最大の指定暴力団「山口組」（総本部・神戸市灘区）の分裂。離脱グループが結成した「神戸山口組」が勢力を拡大する一方、山口組は直系団体で内部崩壊が相次ぐなど組織防衛に追われ、双方を取り巻く状況は分裂当初と大きく様変わりしている。現時点では大規模な抗争は起きていないものの、小競り合いは全国各地で繰り返されている。「山口組」を名乗り、同じ代紋（シンボル）を持つ２つの暴力組織が存在する前代未聞の状態は２０１６年、どう展開していくのか。

　１５年１２月１３日に全国の直系組長を総本部に集め、新年行事「事始め式」を開いた山口組。例年ならコンパニオンを呼んで式の後、宴会が行われていたが中止。直系組長も分裂前の７３人から５６人と減っていた。

　１５年８月末の分裂後、山口組は離脱した１３直系団体の組長を永久追放とする「絶縁」などの処分にする一方、「罪のない若い者の非をとがめない」との篠田建市（通称・司忍）６代目組長の考えを伝え、離脱団体の傘下組織を再吸収するため切り崩し工作を始めた。

　その後、全国各地で離脱グループが結成した神戸山口組との間で小競り合いが起きたが Bottega Veneta 、１９８５～８７年の分裂に伴う「山一抗争」のような「タマ（命）の取り合い」にはならず、膠着状態が続いた。

　数字を比較すれば両者の勢力は大きく開きはあったものの、沈黙を守る山口組に対し、神戸山口組は分裂前に山口組が「絶縁」などの処分にした組長らを呼び戻す奇策を展開。山口組の事始め式と同じ日に兵庫・淡路島で開いた「納会」時点では直系組長を分裂時よりも７人多い２０人と増やしている。

　一方の山口組も分裂の一因となったとされた月会費を減額したり、組幹部が関西や九州の直系団体を相次いで訪れたりして、組織の立て直しや引き締めを図っているが、後手に回っている印象だ。

　捜査関係者は「岡山市や兵庫県尼崎市の直系団体が新たに離脱し、神戸山口組に合流したほか、内部崩壊状態に陥る直系団体が相次いだ。１２月初めにはナンバー３である統括委員長の離脱騒動もあり、篠田６代目組長の求心力は急激な低下をみせている」と指摘する。

　苦境の山口組について在京暴力団関係者は「要は割って出たメンバーを絶縁、破門にしながら、きちんとしたケジメ（暴力的な措置）をつけられず、そのまま神戸山口組の存在を放置していたことが原因。だから ボッテガヴェネタ アウトレット 組織が緩み、内部崩壊が相次いでいる」と分析する。

　ただ、暴力団対策法の度重なる改正や各地で制定された暴力団排除条例などの包囲網で、山口組としても「抗争のリスクは高く、かえって組織の弱体化を招きかねず、ケジメをつけられない」（山口組関係者）というのが実情だ。

　捜査関係者も「次の節目になるのが１６年１月２５日の篠田６代目組長の誕生日に合わせて総本部で開かれる新年会になるだろう。離脱騒動があったナンバー３の統括委員長をはじめ、ナンバー４の本部長の刷新人事も浮上。篠田６代目組長に近い弘道会系のメンバーが内定しているという情報もある。様子見をしていた直系団体が新たに離脱する可能性がある」と推測する。

　その先はどうなっていくのか。捜査関係者が続ける。

　「最終的に山口組は弘道会シンパだけが残る形となり、神戸山口組と小競り合いを繰り返しながら２つの山口組がしばらく併存するではないか。０６年に九州の指定暴力団道仁会が分裂し、九州誠道会（現・浪川会）と二分されたが、双方とも存在している。抗争が許されない時代だからこそ、そうならざるをえないのだろう」

　それはそれで不穏な火種だ。